紹介状がないと、金額が上がる?!~紹介状と選定療養費、診療報酬~

「大学病院や大きな病院は、紹介状がないと料金が高くなる」

と聞いたことはないでしょうか?

実はこれ、下の2つの理由から、料金が高くなるようになっています。

  • 紹介状がないと、選定療養費が必要になるから
  • 大学病院や大きな病院は、診療報酬上、点数が高くなるから

最初から聞いたことのない言葉が多くあるかもしれませんが、、一つずつ見ていきましょう!

紹介状ってなに?

まず、紹介状について書いていきますね。

「紹介状」は俗称で、正式名称は「診療情報提供書」と言います。

紹介状(診療情報提供書)とは、

病院で診察をした後に、他の病院での診察が必要である場合、患者の同意を得て、診療状況を示す文章のことを指します。

簡単に言えば、「この病院では診察が難しいから、他の病院で診察を受けてください。次の病院の先生にもわかるように、今までの診察内容を文章にして渡します」と、医師が次の医師へ渡すお手紙のようなものです。

ちなみに、紹介状の内容は、患者が見てはいけません。紹介状をもらったら、封筒に封をしたまま、次の病院に持っていってくださいね。

医師が紹介状を書いた場合、診療報酬(診察に対する金額)が算定できます。

診療報酬は250点、円に直せば2,500円です。

※診療報酬などについての詳しい内容は、診療明細書の見方シリーズ を参考にしてください!


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紹介状と選定療養費

紹介状は、医師間の情報共有のためのお手紙のようなもの、だと書いてきました。

ではなぜ、紹介状がないと、大きな病院では料金が高くなるんでしょうか?

この答えは、選定療養費があるからです。

選定療養費は、診療報酬とは直接関係ない料金です。つまり、診察料とは別に、プラスαとして自費で支払う料金になります。

この料金が発生する理由は、

「普段の診察は近くの小さな病院(診療所やクリニックなど)で行い、専門的な治療は、入院できる一般病床が200床以上の大きな病院で」

という病院の機能分化を進めるために、厚労省が決めたからです。

厚労省としては、まずは小さな病院で診察を受けて、そこで治療が出来るならOK。

でも、小さな病院で治療が出来ない(検査機械がなく、精密検査が出来ない等の理由も含む)場合は、紹介状を持って大きな病院に行くように。

と、病院の機能を分けています。

このことを、病院の機能分化、と言います。

病院の機能分化をする理由は、大きな病院では、より高度で専門的な治療を行ってほしいからです。

例えば、ちょっと風邪ひいたな~という軽い症状で大きな病院に行くと、本当に高度な治療が必要な人への治療が出来なくなったりして、病院がひっ迫してしまいますよね。

これを避けてほしい、というのが厚労省の考えです。

ここまでのことを、ものすごく簡単に書けば、

一般病床数200床以上の大きな病院に受診する時、紹介状を持っていなければ、

本来は「小さな病院を受診してから、必要があれば大きな病院に行く」ようにしてほしいのに、「わざわざ自分から大きな病院を選んだ」から、その分のお金をもらいなさい

と厚労省が決めた、ということです。

ちょっと嫌な言い方をするならば、選定療養費=ぜいたく料とも言えますね。。

選定療養費の料金

選定療養費は、2020年の診療報酬改定(診療報酬は2年に1回改正されます)で、

一般病床200床以上の地域医療支援病院(簡単に言えば、たくさんの人が入院出来る大病院)に、

  1. 紹介状を持って受診しなかった場合
  2. 症状が安定し、他院への紹介を行ったが、引き続きその病院を受診し続けた場合

上記2つの理由で受診した場合には、自費で支払うことが義務化されました。

1の場合、初診時選定療養費として5,000円以上

2の場合、再診時選定療養費として2,500円以上

と金額も決まっています。

紹介状がなければ、診察料プラス5,000円以上かかる、ということです…。



病院の機能分化と診療報酬

ここまで、紹介状と病院の関係性について書いてきましたが、

厚労省が選定療養費というプラスαの料金を取ってまで、病院の機能分化をしたいのには、もう一つ理由があります。

実は、大学病院や大きな病院(一般病床200床以上)は、小さな病院より医療費がかかるんです。

※ここから、かなり細かい話になりますので、、

よくわからない!となったら、とりあえず大病院にはお金がかかる、と思ってもらえれば大丈夫です◎

大病院は、様々な診療報酬の点数が高めに設定されています。

これは、「より専門的な治療を行っている」ということを厚労省が評価し、点数が高くなっています。

例えば、再診料の違いを見てみましょう。

小さな病院では、再診料73点ですが、

200床以上病院だと、再診料の名前も外来診療料と変化し、74点となります。

このような違いが他の診療報酬にもあり、大病院に受診する方が、金額は高くなるようになっています。

特に、入院の様々な加算には、大病院しか算定できないものがあったりもするため、入院費で考えると、小さい病院と大病院でかなりの差が出る場合も多いです。

(加算、入院料についてはこちら 診療明細書の見方【基礎編】~①加算ってなに?~

診療明細書の見方【応用編】~①入院料ってなに?~

つまり、厚労省的には、軽い症状で大病院を受診して、医療費を高くしてほしくないなぁ…という狙いも、あったりします。




大きな病院へは、紹介状を持って行こう!

紹介状、選定療養費、小さい病院と大病院の間にある診療報酬の違いについて書いてきました。

とってもザックリまとめると、

200床以上の病院に行くときは、まず地域の小さな病院に行ってから、紹介状を持って行こう!

ということです。

もう少し踏み込むと、

小さな病院で紹介状をもらい、大病院に紹介される=その病院では治療が難しい、大きな病気の可能性がある、とも言えます。

紹介状をもらったら、なるべく早く、紹介先の病院へ受診してくださいね。


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