診療明細書の見方【基礎編】~⑤入院費と加算~

今回は外来ではなく、入院費の診療明細書の見方について書いていきます。

入院費については、入院してしまった!入院費ってどうなるの??入院費用って、どんなものがあるの?? などでも書いていますが、

入院時の加算はどうなっているんでしょうか?外来とは何が違うんでしょう?

そんな話を、今からしていきますね!

入院費の算定方法(DPC)

まず、大抵の病院ではDPC(包括医療費支払い方式)という算定方法を使っています。

(DPCの詳しい話は 入院してしまった!入院費ってどうなるの?? で見てください♪)

ただ、DPCをものすごく簡単にまとめると、

入院時の主病名(一番治療した病名)には1日〇〇点と決まっていて、そこに出来高部分と言われる、DPCには含まれない点数が加算される

ということです。

これをもっとかみ砕くと、

入院時の主病名に対する治療は、1日にどれだけしても、○○点ポッキリだと決まっていて、

出来高部分という、別に算定する点数がある

とも言えます。

例えば、

主病名が「胃潰瘍」で、DPC点数が1日3,000点なら、どれだけ薬を使っても、逆に全く使わなくても、1日の点数は3,000点だけになります。

ただ、出来高部分として別に算定されるものとしては、手術や金額の高い検査や薬剤、加算、医学管理料などがあります。

※実際はもっと細々したルールがあるんですが…DPCのイメージを捉えてもらうために、簡単に書いてみました。



入院時に算定できる、加算の種類

外来でも、様々な加算や医学管理料がありますが、入院費の加算には、

  • 入院初日にだけ算定できるもの
  • 毎日・毎月・週1回など、回数の制限があるもの
  • 特定の治療を受けている間だけ算定できるもの

の3つがあります。

仕組みとしては、外来の加算と変わりません。DPCの入院費とは別に、出来高部分として算定されます。

では、1つずつ見ていきましょう!

入院初日だけ算定できるもの

入院初日に算定できるものの例としては、「A234 医療安全対策加算(入院初日) 1 医療安全対策加算1 85点」があります。

これは、「組織的な医療安全対策を実施している保険医療機関を評価したものであり、当該保険医療機関に入院している患者について、入院期間中1回に限り、入院初日に算定する」となっています。

かみ砕くと、「しっかり安全対策している病院は、入院初日の1回だけ、85点を算定していいよ」ということです。



他にも、入院初日だけ算定ができるものは多くあります。

ざっと上げると、「A207 診療録管理体制加算(入院初日)」、「A204-2 臨床研修病院入院診療加算(入院初日)」、「A207-2 医師事務作業補助体制加算(入院初日)」などなど…

このような加算のほとんどは、施設基準を満たしていれば自動的に算定できます。

診療明細書の見方【応用編】~③施設基準ってなに?~ に詳しく書いています♪)

そのため、実は入院した最初の日が、一番医療費が高くなるようになっています。

回数の制限があるもの

入院中に栄養指導を受けた場合、「A233-2 栄養サポートチーム加算(週1回)200点」といった加算がつきます。

これは、厚労省が認めた病院で、栄養指導の専門チームがあり、そのチームを通じて栄養指導を受けた場合に算定されます。

看護師や栄養士など、医師以外の人たちがアドバイスをしてくれれば算定されます。

例えば20日間の入院中、ずっと栄養指導を受けていたとすると、「A233-2 栄養サポートチーム加算(週1回)」は何回算定できるでしょう?

20日÷7日(1週間)なので、2回!と思いがちですが…

よーくカレンダーを見ながら、20日間の入院中に、週1回…と数えると、3回算定できるんです。

週1回なので、毎週月曜日に算定するでもいいですし、入院初日が木曜日なら、木曜日に算定しても構いません。

レセプト上、「週1回」が守られていればいいので、算定した日にちは、そこまで問題にはならないんですよね。回数さえ合っていればOK(ちょっと暴論ですが笑)。

他にも、同じように回数制限のある加算は多くあります。「A242 呼吸ケアチーム加算(週1回)」、「A247 認知症ケア加算(1日につき)」、などなど…


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特定の治療を受けている間だけ算定できるもの

この加算が、外来とは違う入院時独自の加算かなぁと個人的に思っています。これらの加算は「特定入院料」と呼ばれます。

例えば、HCUに入院してしまった!そんな時、HCUに入っている間は、「A301-2 ハイケアユニット入院医療管理料(1日につき) 1. ハイケアユニット入院医療管理料1 6855点」が算定されます。

つまり、HCU(ハイケアユニット)に入っている間は、毎日6,855点、円にすれば68,550円が必要になるんです。

金額にすると驚きますが…HCUに入るということは、相当に重症な状態です。そのため、看護師もつきっきりだったり、とても繊細で難しい治療を行う必要があります。

これらの手間に対し、「ハイケアユニット入院医療管理料」が、DPCの入院費とは別に算定されるんです。

同じように、特定入院料には「A302 新生児特定集中治療室管理料(1日につき) 1.新生児特定集中治療室管理料1 10539点」など、カナリ高額なものが多いです。

それは、入院して高度で専門的な治療をしているからこそ、算定されるものなんです。



入院時の加算、まとめ

ここまで、たくさんの加算の例を書いてきました。

入院時の加算について簡単にまとめると、

  • 入院費の加算は、DPC入院料とは別に算定される
  • 加算には、入院初日だけのもの、回数制限のあるもの、治療を行っている間算定できるものがある
  • 入院初日が、実は一番医療費が高くなる
  • 特定入院料という、高額な加算もある

ということになります。

まとめてしまえば、外来とそんなに変わらないし、難しくもないのですが…入院時の加算は、点数が大きく、高額なものが多いです。

それだけ「入院して治療をする」というのは、大変なことなんですよ。


なぜ 入院してすぐに、退院後の話をされるの?: ~医療費と日本の医療福祉制度のカンケイ

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