診療明細書の見方【応用編】~③施設基準ってなに?~

診療明細書の見方【応用編】も、なんともう3つ目。

診療明細書の見方シリーズ をよくご覧になっている方は、なんとな~く聞き覚えがあるかもしれない、「施設基準」という言葉。

施設基準が関係する診療報酬が出てきた場合、いつも簡単な説明はつけていますが…

今回は、施設基準について、もう少し詳しく書いていきます♪

施設基準ってなに?

施設基準とは、医療機関の機能や役割などについて、地方厚生局に届出をして認可がおりた基準のことです。

そして、施設基準を満たしていないと、算定できない診療報酬がたくさんあります

この説明だけだと、何のことを言ってるのか、分かりにくいと思います。。

なので、実際の診療報酬を見ながら、施設基準について理解を深めてみましょう!

施設基準と診療報酬の関係

では、実際の診療報酬と施設基準の関係を見ていきますね。

例えば、時間外対応加算。この加算を算定するためには、施設基準を満たしていないといけません。

(加算については、診療明細書の見方【基礎編】~①加算ってなに?~ に詳しく書いています♪)

時間外対応加算は、診療報酬「A001 再診料(73点)」についてくる加算です。

診療報酬の注釈を見ていくと、

10 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関(診療所に限る。)において再診を行った場合には、当該基準に係る区分に従い、次に掲げる点数をそれぞれ所定点数に加算する。
イ 時間外対応加算1 5点
ロ 時間外対応加算2 3点
ハ 時間外対応加算3 1点

しろぼんねっと)

という項目が出てきます。

この項目をものすごくザックリ言うなら、

時間外対応加算を算定したいなら、先に地方厚生局等(つまり厚生労働省)に届出をして、施設基準を満たしておく必要があるよ!ということです。




施設基準を認可してもらうための”基準”

では、時間外対応加算の施設基準はどんなものでしょうか。

五 時間外対応加算の施設基準

(1) 時間外対応加算1の施設基準

当該保険医療機関の表示する診療時間以外の時間において、患者又はその家族等から電話等により療養に関する意見を求められた場合に、原則として当該保険医療機関において、常時対応できる体制にあること。

(2) 時間外対応加算2の施設基準…(以下略

しろぼんねっと

時間外対応加算1を算定するためには、

  • その病院が、普段開いている診療時間以外の時間に
  • 患者や家族等から、電話等で相談された時
  • 常に対応できるような体制を作っておくこと

が条件、つまり”基準”になります。

もっと嚙み砕いて言えば、

基本的にいつでも医師や看護師がいて、受診や電話で病気の相談ができる病院です、と地方厚生局(厚労省)に認めてもらう必要がある

ということです。

このように、施設基準を届出するための”基準”も、診療報酬表には載っています。


診療点数早見表 2021年4月増補版: [医科]2021年4月現在の診療報酬点数表 (2021年4月増補版)

医療事務は、この診療点数早見表を隅々まで読んでいます。いや、本当に。笑

診療報酬は厚労省によって、ガチガチに固められたものなんですよ。

施設基準=その病院で何が出来るか分かる指標

施設基準がどのようなものか、なんとなくイメージ出来たでしょうか?

今までの例で言えば、

時間外対応加算の施設基準を満たしていない病院(診療時間内しか受診できない病院)は、診療時間外(夜間や休診日)に受診することができません。

厳密に言うと「受診できない」というより、診療時間外に受診した患者の治療費を請求する先がない(=診療報酬が算定できない)、ということになります。

これは流石に、医師も看護師もかわいそうですよね。

一生懸命治療をしても、診療時間外の治療だと、単なるタダ働きみたいになってしまうんですから…。




「施設基準がないと、診療報酬が算定できない」ということは、「厚労省に認められていない病院では、その治療ができない」とも言い換えられます。

つまり、その病院がどんな施設基準を認可されているのかを見ると、どんな治療を受けられる病院なのか想像できる、ということです。

例えば、とあるA病院の標榜する(簡単に言えば、表示している)施設基準が下のものだとします。

  • 時間外対応加算3
  • 一般病棟入院基本料
  • 重症者等療養環境特別加算
  • 無菌治療室管理加算1
  • 緩和ケア診療加算
  • 緩和ケア病棟入院料
  • がん性疼痛緩和指導管理料 …など

上2つを見ると、時間外でも対応できるし、入院もできる病院だな、とまず分かります。

(入院料については診療明細書の見方【応用編】~①入院料ってなに?~ へ)

そして、「無菌治療室」「緩和ケア」「がん」という名前があります。

ということは、この病院では「がんの治療」と「緩和ケア」が出来る?無菌室(クリーンルーム)もあるから、抗がん剤治療も出来る?

などと、推測できます。


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まとめ

施設基準について一言でまとめると、

施設基準がないと、その治療ができない(=やっても診療報酬にならない)

ということになります。

施設基準には様々な種類があるため、気になる方は、比較的大きい病院のホームページを検索してみてください。

必ず、いくつかの施設基準を満たしているはずですよ♪


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