分娩の時にもらえる50万円は、出産育児一時金と産科医療補償制度の合計金額だと、
前回の記事、【産科医療について】分娩の時にもらえるお金①~出産育児一時金~ で書きました。
今回は制度の2つ目、産科医療補償制度について書いていきますね♪
産科医療補償制度とは?
また難しそうな名前が出てきましたが…
産科医療補償制度は、公益財団法人日本医療機能評価機構が運営する制度です。厚労省も後押している制度ではあります。
この制度では、「分娩に関連した重症脳性麻痺」に対しての保障が受けられます。
(詳しくはこちら:産科医療補償制度 公益財団法人日本医療機能評価機構)
分娩時には、誰にも予想できないようなことが起きたりします。
たとえ経腟分娩の正常分娩であっても、赤ちゃんに何らかの脳の障害(四肢のマヒなど)が残る場合もあります。
そういった、分娩に関連した重症脳性麻痺に対する、主に金銭的な保障を受けられる制度です。
この補償の対象になるのは、
- 在胎週数32週以上かつ出生体重1,400g以上、または在胎週数28週以上で低酸素状況を示す所定の要件を満たして出生したこと
- 先天性や新生児期等の要因によらない脳性麻痺であること
- 身体障害者手帳1・2級相当の脳性麻痺であること
- の3つを満たす子であると決まっています。
実際に産科医療補償制度が使えるかどうかは、出産後に医師と相談しながら決めていくことになります。
医師と相談した上で、補償対象の可能性があるとなった場合、
分娩をした病院へ依頼し、病院から公益財団法人日本医療機能評価機構へと申請されます。
私も現役医療事務員の時に、何度か産科医療保障制度へ申請をしたことがあります。
出産というのは本当に分からないもので…たとえ正常分娩でも、ママは健康でも、重症脳性麻痺となる赤ちゃんがいるんだな、と思いました。
私は医師ではないので、どんな状態であれば危険なのかは分かりませんが…誰にでも起こり得ることなんだな、と実感しました。
産科医療補償制度の掛け金
では、そろそろお金の話に入っていきましょう。
産科医療補償制度の掛け金は、1分娩につき12,000円です。
この制度は、病院が産科医療補償制度に加入していると、自動的に加入し、掛け金を支払うことになります。
とはいえ、この掛け金、わざわざ病院に支払う必要はありません。
大抵の場合、分娩費用に上乗せして請求されますし、50万円でまかなえるようになっています。
もし「加入したくないです!」と思う方は、産科医療補償制度に未加入の病院を探してもらうことになりますが…
ほとんどの病院が加入していますし、生まれた子に重症麻痺が絶対にない、ということもないので、加入しておくのが良いかな、と思います。
ちなみに、産科医療補償制度に加入している病院は、下のようなロゴの証加入者証が掲示されていますよ◎
50万円は、出産育児一時金と産科医療補償制度の合計
ここで、察しの良い方は気付いたかもしれませんね。
産科医療補償制度の掛け金が12,000円ということは、保険者から支給される出産育児一時金は、厳密に言うと、
50万円-12,000円の、488,000円なんです。
ですが、ほとんどの病院が産科医療補償制度に加入しているので、
分娩の時にもらえるお金は、50万円だと考えてもらえば大丈夫です♪
では、分娩の時にもらえる50万円のお金について、まとめてみましょう。
- 分娩をすると、50万円がもらえる制度がある
- その制度は、出産育児一時金と産科医療補償制度という2つの制度
- 出産育児一時金は、保険者からもらえるお金
- 産科医療補償制度は、重症脳性麻痺に対する支援が得られる制度
- ほとんどの病院が加入しており、掛け金は12,000円
出産育児一時金の488,000円 + 産科医療補償制度の12,000円 = 50万円
となりますが、この辺りの計算は医療事務員がするので…あまり気にしなくても大丈夫です。
ですが、出産(分娩)には2つの制度での支援があるんだなー、ということを知っておいてくれると良いなぁと思います◎
次の記事では、少しややこしい話をします。
産科医療についての、応用編になるような話です。
なぜ、出産育児一時金と産科医療補償制度が分けられているのか、というお話です。
ここまでマニアックな話は、出産をする時には、ほとんど関係ないことなんですが…
「気になる!!」という方向けに、詳しい話を書いてみますね♪