退院まであと少し!!~回復期リハビリテーション病棟と地域包括ケア病棟~

「病院」には4種類ある?!~病院と診療所、急性期や慢性期ってなに?~ では、病院の種類について書きましたが、

今回はその中でも、「回復期」にあたる病棟に焦点を当てます。

リハビリ専門の病棟である「回復期リハビリテーション病棟」と、リハビリもするし治療も行う「地域包括ケア病棟」

なんだか似ているけれど、役割が違う病棟。その違いについて書いていきますね♪

「回復期」とは?

まず、さらっと「回復期」について書いておきますね。

「回復期」とは、急性期ではなくなった患者が、在宅復帰のための治療をしたり、リハビリをしたりする状態を指します。

簡単に言えば、生命の危機になるような病状(=急性期)で、手術や高度な治療を行った後の患者が、お家に帰るための治療やリハビリを行う状態のことです。

ここで大事なのは、「お家に帰るために」治療やリハビリを行っている、ということ。

これは「回復期病棟には、ずっと入院することはできないし、退院することが入院条件」ということでもあります。

そのため、回復期病棟は入院できる期間や、入院できる病名、状態が決まっています。

回復期病棟には、大きく分けて2つの病棟があります。

  1. 回復期リハビリテーション病棟
  2. 地域包括ケア病棟

ひとつずつ詳しくみていきましょう!




1.回復期リハビリテーション病棟

まず、回復期リハビリテーション病棟(略して「回リハ病棟」と呼びます)とは何でしょう?

「病院」には4種類ある?!~病院と診療所、急性期や慢性期ってなに?~ にカナリ簡単に書いているので、それを引用します。

急性期病院には「回復期リハビリテーション病棟」という名前の病棟があったりします。

急性期病棟で治療後、同じ病院内にある回復期リハビリテーション病棟(略して回リハ病棟)でリハビリをして、退院する仕組みです。

回リハ病棟は、入院対象となる病名が決まっており、入院できる(リハビリができる)期間も数ヶ月と決まっています。

ここからわかるように、回リハ病棟は、

  • 急性期病棟で治療後(=手術などを行った後)
  • 特定の病名の患者が
  • リハビリをするために入院する(期間限定)

という病棟です。

もっと詳しく書くと、回リハ病棟への入院は、

  • 厚労省の定めた病名(脳血管疾患や大腿骨頸部骨折など)の治療後に
  • 医師の判断により、リハビリが必要で
  • リハビリをすれば在宅退院ができる患者

という条件が必要となります。

これらをまとめると、

  1. 厚労省の定めた病名での急性期病棟の治療後
  2. 医師の指示のもとリハビリを行い
  3. 定められた期限内に在宅への退院ができる患者

という条件になり、この条件を満たさない患者は、回リハ病棟への入院ができません。

また、回リハ病棟は最高でも3ヶ月(180日)しか入院ができないと決まっています(ただし、例外はあります)。



2.地域包括ケア病棟

今度は、地域包括ケア病棟について書いていきます◎

地域包括ケア病棟は、

  • 急性期から回復期となり、あと少しで退院できる状態(病名は問わない)
  • 普段は在宅療養をしているけれど、一時的に入院する場合(レスパイト入院)

この2つが入院条件となり、回リハ病棟よりも少し条件はやさしくなります。

回リハ病棟と何がちがうの?と思えてきますが…違いは、大きく2つあります。

1.どんな病気でも、医師の指示があれば入院できる

地域包括ケア病棟は、どんな病気であっても、医師の指示があれば最大60日間入院を継続できます。

回リハ病棟は、厚労省の定めた病名以外の入院はできません。ですが、地域包括ケア病棟ならどんな病気でも入院できます。

入院期間を延長する、逆に言えば「退院時期を遅らせる」メリットは、

  • 患者本人が、自信をもってお家へ帰れる
  • 患者を受け入れる家族が、患者の退院までに準備ができる
  • お家へ帰れない状態(在宅生活が出来ない場合)なら、次の病院や介護施設などを探す時間が作れる

などがあります。

つまり、安心して次の場所へ向かうための、準備期間を作るための時間を作れる病棟だと言えます。

2.レスパイト入院ができる

レスパイト(respite)という言葉は、あまり聞き馴染みがないかもしれませんが…「一時休止」「息抜き」という意味の言葉です。

レスパイト入院とは、患者のケアをする家族などが、一時的に休憩・休息するために、患者本人が入院することを指します。

つまり、患者を支える家族が、看病や介護疲れで倒れてしまわないように、一時的に病院が患者のケアを代わりにする入院、とも言えます。

そのため、入院期間はごく短期に限られます。また、この入院も医師の指示があって初めてできるものです。

退院するまでの「準備期間」が回復期

ここまで、回復期病棟の2つ、回復期リハビリテーション病棟と地域包括ケア病棟について書いてきましたが、

どちらの病棟も、退院するまでの準備期間の意味合いが強い病棟です。期間にも制限があり、ずっと入院することは想定されていません。

ものすごく簡単に書くと、下のようになります。

回復期リハビリテーション病棟(回リハ病棟)

特定の病名で、リハビリをして元気に退院するための、リハビリ専門の病棟。

地域包括ケア病棟

本当はもう退院できる状態だけど、安心して退院するための準備期間の間、一時的に入院できる特別な病棟。あるいは、家族の負担を減らすために、一時的に入院ができる病棟。

似ているけれど、役割の違う2つの病棟。知っていると、不安も和らぎますよ◎



回リハ病棟、地域包括ケア病棟ともに、算定的な部分では特別な部分があるので…

また診療明細書の見方シリーズで、算定方法についても書いていきますね♪

(恐らく、応用編になるかと思います)

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