今回は応用編でも、少し混乱しそうな内容になるのですが…
救急搬送された場合、救急車代はかかるの?ということを書いてみます。
日本で救急搬送されても、救急車代は請求されませんが、
厳密に言うと、ある条件がそろえば、医療費として救急車代のようなものが必要になります。
えっ?!お金かかるの?!と思われると思いますが…
一つずつ、仕組みを見てみましょう!
日本では、救急車代は無料
まず、日本では救急車を呼んでも、お金はかかりません。
なので、救急車代を支払うことはありません。
外国では、救急車を呼ぶのにもお金がかかる所もあるようですが、日本は無料です。
救急隊員さんには、頭が上がりませんよね…。いつでも病院まで運んでくれる。しかも無料で。
その分、救急隊員さんはお給料に少し色がついていたり、するのかなぁ…?その辺りは詳しくありませんが、きっとそうだと信じたい。。
※無料だからと言って、救急車をタクシー代わりに使うようなことは、絶対にやめてください!!
実際、「ちょっとしんどい」からと、タクシーのように救急搬送される「常連さん」もいます。
病院によっては、常連さんの救急搬送は「お断り」の対応をしている場合もあります。
救急車を呼ぶべきかどうか迷ったときは、「#7119」に電話してみてくださいね。
ある条件がそろうと、診療報酬が算定できる
最初に、「ある条件がそろえば、医療費として救急車代のようなものが必要になる」と書きました。
言い換えると、「ある条件下では診療報酬が算定できる」ともいえます。
この時に算定されるのは、「B001-2-6 夜間休日救急搬送医学管理料」です。
「B001-2-6 夜間休日救急搬送医学管理料」は600点で、加算もあります。
(診療明細書の見方【基礎編】~①加算ってなに?~ に詳しく書いていますよ♪)
夜間休日と書いているので、条件の1つは「夜間休日に救急搬送された」ことです。
あとは、「施設基準を満たしている」、「医学管理を行った」、「初診である」ことが条件です。
では、1つずつ見ていきましょう!
1.夜間休日に救急搬送された
これはイメージしやすいと思います。
その病院の診療時間外か、深夜、休日に救急搬送された時です。
これは私の職業病なんですが。
夜中に救急車の音が聞こえると、「あー。夜間休日救急搬送医学管理料、高いぞー」と思ってしまいます(笑)
2.施設基準を満たしている
施設基準については、診療明細書の見方【応用編】~③施設基準ってなに?~ に詳しく書いていますが、
簡単に言うなら、「厚労省が、その管理料を算定してもいいと認めた病院」のことを指します。
「B001-2-6 夜間休日救急搬送医学管理料」の施設基準は、
第二次救急医療機関か、都道府県知事か指定都市市長の指定する精神科救急医療施設です。
第二次救急医療機関についても、また診療明細書の見方シリーズで詳しく書こうとは思いますが、、
簡単に言うなら、急性期病院(救急搬送を受け入れているような、地域の大きな病院)が、第二次救急医療機関になることが多いです。
救急搬送されるような大きな病院か、精神科病院なんだな、と思ってもらえば大丈夫です◎
3.医学管理を行った
医学管理については、診療明細書の見方【基礎編】~④医学管理料ってなに?~ に詳しく書いていますが、
ざっくり言うのなら、定期的に診察する必要があるか、リスクの高い診療をした場合に算定できます。
救急搬送されるくらいなんですから、間違いなくリスクの高い診察はしていますよね。
4.初診である
初診とは、初めてその病院へ受診した、ということです。
厳密に言うと、昔通院していた病院でも初診となります。それは、しばらく治療をしていなかったから。
初診料も、結構奥が深く…また別の記事に書こうかなと思います。
夜間休日救急搬送医学管理料の加算
ここまで、夜間休日救急搬送医学管理料の算定条件を書いてきました。
- 夜間休日に救急搬送された
- 施設基準を満たしている
- 医学管理を行った
- 初診である
この4つの条件を満たした場合には600点、円にすると6,000円の診療報酬が算定できます。
これに加え、加算の条件もあります。
施設基準を満たしていれば、
- イ 救急搬送看護体制加算1 400点
- ロ 救急搬送看護体制加算2 200点
でも、夜間休日救急搬送医学管理料が算定される理由は、2つあるんです。
初診だと、その患者さんがどんな病気があるのか分からないし、いろんな検査をしないといけない。
病院に情報がないから、たくさんの検査をして、患者さんの病状を知らないといけないんですよね。
もし、その患者さんが大きな病気を抱えていたり、重症にもなり得るアレルギーがあったりしたら。。
それを調べるために、検査をたくさんしないといけないので、人手と医療費は必要になりますよね。
もう一つは、夜間休日だからこそ、配置されている人数が少ないんです。
どんな病院でも、夜間休日は働く人が少なくなります。
そんな中、救急搬送されるような重症な患者が来れば、人員をその患者さんへ向かうか、少ない人数でなんとか頑張るしかありませんよね…。
こういった2つの理由から、夜間休日救急搬送医学管理料は算定されています。
決して、病院が得したいだけ、という訳ではありませんよ。
※ちなみに。精神科医療だと、急性薬毒物中毒(アルコール中毒を除く。)と判断された場合、400点を加算できます。アルコール以外というと、精神疾患をお持ちの方で、お薬をたくさん飲むオーバードーズ(OD)という自傷行為を行う方がいます。ODは自傷行為で、自殺(自死)にも繋がる行為なので、その加算がついているのだと思います。