診療明細書の見方【応用編】~④救急搬送されたら、お金がかかる?!~

今回は応用編でも、少し混乱しそうな内容になるのですが…

救急搬送された場合、救急車代はかかるの?ということを書いてみます。

日本で救急搬送されても、救急車代は請求されませんが、

厳密に言うと、ある条件がそろえば、医療費として救急車代のようなものが必要になります。

えっ?!お金かかるの?!と思われると思いますが…

一つずつ、仕組みを見てみましょう!

日本では、救急車代は無料

まず、日本では救急車を呼んでも、お金はかかりません。

なので、救急車代を支払うことはありません。

外国では、救急車を呼ぶのにもお金がかかる所もあるようですが、日本は無料です。

救急隊員さんには、頭が上がりませんよね…。いつでも病院まで運んでくれる。しかも無料で。

その分、救急隊員さんはお給料に少し色がついていたり、するのかなぁ…?その辺りは詳しくありませんが、きっとそうだと信じたい。。

※無料だからと言って、救急車をタクシー代わりに使うようなことは、絶対にやめてください!!

実際、「ちょっとしんどい」からと、タクシーのように救急搬送される「常連さん」もいます。

病院によっては、常連さんの救急搬送は「お断り」の対応をしている場合もあります。

救急車を呼ぶべきかどうか迷ったときは、「#7119」に電話してみてくださいね。

ある条件がそろうと、診療報酬が算定できる

最初に、「ある条件がそろえば、医療費として救急車代のようなものが必要になる」と書きました。

言い換えると、「ある条件下では診療報酬が算定できる」ともいえます。

この時に算定されるのは、「B001-2-6 夜間休日救急搬送医学管理料」です。

「B001-2-6 夜間休日救急搬送医学管理料」600点で、加算もあります。

診療明細書の見方【基礎編】~①加算ってなに?~ に詳しく書いていますよ♪)

夜間休日と書いているので、条件の1つは「夜間休日に救急搬送された」ことです。

あとは、「施設基準を満たしている」、「医学管理を行った」、「初診である」ことが条件です。

では、1つずつ見ていきましょう!

1.夜間休日に救急搬送された

これはイメージしやすいと思います。

その病院の診療時間外か、深夜、休日に救急搬送された時です。

これは私の職業病なんですが。

夜中に救急車の音が聞こえると、「あー。夜間休日救急搬送医学管理料、高いぞー」と思ってしまいます(笑)

2.施設基準を満たしている

施設基準については、診療明細書の見方【応用編】~③施設基準ってなに?~ に詳しく書いていますが、

簡単に言うなら、「厚労省が、その管理料を算定してもいいと認めた病院」のことを指します。

「B001-2-6 夜間休日救急搬送医学管理料」の施設基準は、

第二次救急医療機関か、都道府県知事か指定都市市長の指定する精神科救急医療施設です。

第二次救急医療機関についても、また診療明細書の見方シリーズで詳しく書こうとは思いますが、、

簡単に言うなら、急性期病院(救急搬送を受け入れているような、地域の大きな病院)が、第二次救急医療機関になることが多いです。

救急搬送されるような大きな病院か、精神科病院なんだな、と思ってもらえば大丈夫です◎


3.医学管理を行った

医学管理については、診療明細書の見方【基礎編】~④医学管理料ってなに?~ に詳しく書いていますが、

ざっくり言うのなら、定期的に診察する必要があるか、リスクの高い診療をした場合に算定できます。

救急搬送されるくらいなんですから、間違いなくリスクの高い診察はしていますよね。

4.初診である

初診とは、初めてその病院へ受診した、ということです。

厳密に言うと、昔通院していた病院でも初診となります。それは、しばらく治療をしていなかったから。

初診料も、結構奥が深く…また別の記事に書こうかなと思います。

夜間休日救急搬送医学管理料の加算

ここまで、夜間休日救急搬送医学管理料の算定条件を書いてきました。

  1. 夜間休日に救急搬送された
  2. 施設基準を満たしている
  3. 医学管理を行った
  4. 初診である

この4つの条件を満たした場合には600点、円にすると6,000円の診療報酬が算定できます。

これに加え、加算の条件もあります。

施設基準を満たしていれば、

  • イ 救急搬送看護体制加算1 400点
  • ロ 救急搬送看護体制加算2 200点
のどちらかが加算されます。
もしイの加算1が算定できるなら、600点+400点なので、1,000点の算定となります。
円にすれば、10,000円。
初診の病院に、夜間休日に救急搬送されると、金額が高くなりますね…。



でも、夜間休日救急搬送医学管理料算定される理由は、2つあるんです。

初診だと、その患者さんがどんな病気があるのか分からないし、いろんな検査をしないといけない。
病院に情報がないから、たくさんの検査をして、患者さんの病状を知らないといけないんですよね。

もし、その患者さんが大きな病気を抱えていたり、重症にもなり得るアレルギーがあったりしたら。。
それを調べるために、検査をたくさんしないといけないので、人手と医療費は必要になりますよね。

もう一つは、夜間休日だからこそ、配置されている人数が少ないんです
どんな病院でも、夜間休日は働く人が少なくなります。
そんな中、救急搬送されるような重症な患者が来れば、人員をその患者さんへ向かうか、少ない人数でなんとか頑張るしかありませんよね…。

こういった2つの理由から、夜間休日救急搬送医学管理料は算定されています。
決して、病院が得したいだけ、という訳ではありませんよ。

※ちなみに。精神科医療だと、急性薬毒物中毒(アルコール中毒を除く。)と判断された場合、400点を加算できます。
アルコール以外というと、精神疾患をお持ちの方で、
お薬をたくさん飲むオーバードーズ(OD)という自傷行為を行う方がいます。
ODは自傷行為で、自殺(自死)にも繋がる行為なので、その加算がついているのだと思います。

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