診療明細書の見方【基礎編】~①加算ってなに?~ 診療明細書の見方【基礎編】~②手技ってなに?~に続いて、今回は保険診療と自由診療、自費について書いていきます!
診療明細書の見方というよりも、診療報酬の仕組みに近い話ですが、、大事な話でもあります。
保険診療と自由診療、自費のちがいについて、ひとつずつお話ししますね♪
保険診療と自由診療のちがい
まずはじめに、保険診療と自由診療のちがいについて書いていきます!
保険診療とは
保険診療とは、健康保険の制度が適応される診療のことを指します。
言い換えれば、診療報酬が算定できる治療で、保険証が使える治療のことです。
診療明細書の中で、点数が表記されている治療行為は保険診療となります。
診療明細書の見方シリーズ で具体例として書いている診療行為はすべて、保険診療ということになります◎
基本的に、病院は保険診療を行わなければなりません。
そのため、厚労省の規定などでは、医師のことを「保険医」、病院のことを「保険医療機関」と呼んでいることもあります。保険診療を行う医師、医療機関である、ということです。
また、保険診療にもとづいた診療をしていないと、診療報酬は算定できません。
つまり、保険診療をしていたら、患者さんは保険証を使った支払いができ、病院はレセプト(=診療報酬明細書)の請求ができます。
(病院はどこからお金を得てるの? では、診療報酬の請求について詳しく書いています)
患者さんの医療費負担が少なくなるのも、保険診療を行っているからです。
自由診療とは
自由診療とは、保険証が使えない診療のことです。
保険証が使えない診療とは、厚労省が認可していない診療行為や、美容整形など病気ではないものに対する治療行為などを指します。
自由診療を行った場合、治療費は診療報酬に則ったものではなく、病院が独自に金額を設定します。保険証は使えないので、その治療を受けた場合の治療費は、患者が全額支払わなければなりません。
自由診療=保険診療以外の診療行為、と考えても大丈夫です◎
ちなみに。
厚労省が認めてない診療行為といっても、決してアブナイ治療ではないですよ。笑
治療効果や研究結果などはあるものの、安全性がまだハッキリしていない、臨床実績が少ない等といった理由で、まだ診療報酬として認可されていない治療法を指します。治療効果は高いけど、診療報酬がないので保険証が使えない治療(先進治療など)も含まれます。
自由診療と自費のちがい
自費とは、保険証を使えないもの(ガーゼやオムツなど)を購入する場合や、保険診療だけど保険証を使えない時などに医療費を全額支払う場合を指します。
保険証が使えないという部分で自由診療と似ていますが、若干ちがいます。
自由診療は厚労省が認めていない「治療行為」を指し、あくまでも保険証が使えないものですが、
自費の場合、本当は保険証が使えるけど、使わなかった治療行為や、そもそも治療行為ではない(ガーゼやオムツは直接的な治療行為ではない)ものを指します。
自費の中には、人間ドッグのような検診も含まれます。
検診は確かに医療行為ですが、治療のための医療行為ではないため、基本的に自費となります。
ただ、検診中に治療行為を行った場合、保険診療となることもあります。例えば、大腸カメラで検診をしている時に、大腸ポリープを見つけたので切除した、という場合、大腸ポリープ切除術という手術行為となるため、ここは保険証が使えます。
また、産科の検診、出産も自費となります。
産科、つまり妊娠出産は「病気ではない」ため、保険証が使えません。
とはいえ、検診時に何か治療行為をした場合は、保険診療となります。例えば、悪阻(つわり)がひどくてご飯が食べられないから点滴をした、という場合などは保険証が使えます。
産科の仕組みについては、また別の記事を書きますね♪
もう一つ自費としてよくあるのが、予防接種です。
予防接種も治療行為ではないため、自費になります。そのため、インフルエンザの予防接種の値段が病院によって違う、ということが起こりえます。
まとめ
保険診療、自由診療、自費と書いてきましたが、ざっくりまとめると、
保険診療:保険証が使える治療行為、点数がある
自由診療:保険証が使えない治療行為
自費 :そもそも治療じゃない場合や保険証を使わなかった場合
ということになります。
似たような言葉が多くてややこしいですが、、診療明細書を見る時にも大切になりますよ◎