私は医療事務時代、主に産科の入院会計を担当していました。
なので、そろそろ私の得意分野である、産科医療について書いていきます♪
産科医療についての第1回目として、今回は産科医療の概要を書いていきます!
産科と産婦人科の違い
まず、産科ってなに?という所からですが。
よく「産婦人科」という言葉は聞くと思います。妊娠したら産婦人科へ、みたいに。
ですが、実はこの言葉は「産科」「婦人科」の2つの科が合体した言葉です。
それぞれの科を簡単にまとめると、
- 産科:お産、子どもを産むための科。妊娠したら行く。
- 婦人科:月経や子宮・卵巣の病気を治療する科。月経の異常や、子宮がんなどの治療をする。
ということになります。
なぜ「産婦人科」と、まとめられているのかと言えば、産科の医師は婦人科の治療もできたりするからです。
例えば、産科で妊娠のことを診ていたら、婦人科的な病気(卵巣の異常など)が見つかったり…なんてこともあります。逆に、月経が止まっていてお腹が痛い…と婦人科を受診したら、妊娠がわかったり。
子宮や卵巣、そういった女性の身体特有のもの(臓器)は生殖器官でもあり、妊娠・出産にもつながっています。
そのため、どちらもまとめて「産婦人科」と呼ばれることが多いんです。
ただ、厳密にいえば、産科は妊婦、婦人科は妊婦以外の女性を診察することになります。
ちなみに。私は産科も婦人科も担当だったので、「産婦人科担当」といっても差し支えないかなぁと思います。笑
産科は、基本的に保険証が使えない
産科と婦人科の違いはわかったかと思いますが、産科と婦人科の大きな違いは、会計の方法です。
婦人科は、診療報酬に基づいた保険診療です。簡単に言えば、普通の病院と同じように、保険証を使った治療をしています。
そのため、診療明細書の見方シリーズ で書いているような、診療報酬の点数がしっかり決まっています。
一方、産科は、基本的に保険診療ができません。つまり、保険証は使えません。
これはなぜかというと、産科=出産=病気ではないから、なんです。
でも、妊婦検診とか、出産する時は病院で産んでいますよね…?
病院へは行くけど、保険証は使えない。しかもその理由は、妊娠出産は病気ではないから。
なんか、納得いかないですよね。妊娠出産って、すごく大変なのに…
保険証が使えるのは、病気やケガだけ
実は保険証の仕組みとして、病気やケガしか保険証は使えないと決まっているんです。
協会けんぽという保険者のホームページにも、こう書かれています。
(保険者については、保険証で職業がわかる?!~保険者と法別番号~ へ)
健康保険で受けられない診療について健康保険の「療養の給付」は、病気やケガをしたときの治療を対象として行われます。
このため、日常生活に何ら支障がないのに受ける診療(美容整形など)に健康保険は使えません。
妊娠も病気とはみなされないため、正常な状態での妊娠・出産は健康保険の適用から除外されています。
また、健康保険の目的からはずれるような病気やケガをしたときは給付が制限されることがあります。
妊娠・出産には「正常」と「異常」がある
妊娠・出産には、「正常」と「異常」があります。
何が正常で異常かという詳細については、私は医師ではないため言えませんが…
医学的な治療が必要である妊娠は「異常」である、とされます。
例えば、子宮外妊娠。本来妊娠は、子宮内に卵子が着床することで起こりますが、なんらかの理由で子宮以外の場所(卵管とか)に着床してしまった場合。
こういった妊娠は「異常妊娠」となり、保険証が使えます。というより、早く治療をしないと大変なことになってしまいますよね。。
薬を飲んだり、手術をしたりする必要がある=医学的な治療が必要である、ということになります。
他にも、逆子などで、帝王切開での出産となる場合。
帝王切開は、もちろん麻酔も使うし、帝王切開術という手技の手術を行います。(手技についてはこちら 診療明細書の見方【基礎編】~②手技ってなに?~ )
薬も使うし手術もするので、母子ともに健康であったとしても、「異常分娩」と呼ばれます。
正常分娩は、いわゆる自然出産のことを指します。特に薬を使う訳でもなく、陣痛が来て膣を通って生まれてくるものです。経腟分娩とも呼びます。
ですが、たとえ経腟分娩であっても、すべてが正常分娩であるとは限りません。
経腟分娩でも異常分娩扱いとなる場合があります。
産科医療のまとめ①
ここまで、産科医療について書いてきました。
今回は1回目ということで、大枠だけの話になりましたが、まとめてみましょう!
- 産科と婦人科は違う
- 産科は妊娠・出産をするための診療科
- 産科は基本的に保険証が使えない(病気ではないため)
- ただし、異常な妊娠・分娩の場合は保険証が使える
まずは、これを覚えていてくださいね♪